マンションに立体駐車場を設ける際、自走式立体駐車場にするべきか機械式立体駐車場にするべきか考慮する必要があります。この2種類にはそれぞれメリットとデメリットがあり、一概にどちらが良いという答えはありません。しかし近年、自走式立体駐車場を導入するマンションが増えてきています。その最も大きな理由は機械式立体駐車場の維持費にあります。
本記事では、機械式駐車装置の総合メーカーである豊国ファシリティーズのコラム編集部が、なぜ機械式立体駐車場ではなく自走式立体駐車場の需要が増えているのかを、改めて2つの特徴を比較しながら解説していきます!
目次
マンションの立体駐車場とは?一般的な2つの種類を解説!
立体駐車場とは、複数の階層に車を駐車できるように設計された駐車場のことを指します。通常、建物内または建物に隣接する形で配置され、駐車スペースを有効に活用するために垂直に車を配置することができます。これは、敷地面積が限られている都市部や繁華街、商業エリアなどで一般的に見られます。
その中で、マンションの立体駐車場には大きく2つの種類があります。それが冒頭でもお伝えした自走式立体駐車場と機械式立体駐車場になります。
マンションの自走式立体駐車場
自走式立体駐車場は、ユーザーが自ら駐車スペースまで運転し駐車する形になります。機械式立体駐車場に比べ、広い敷地が必要となりますが、維持費が安いというメリットがあります。
マンションの機械式立体駐車場
機械式立体駐車場は、所定の位置に車を停車すると、そこからは機械によって駐車スペースまで車を運ぶ形となります。これは出庫時も同じで、駐車スペースから所定の位置までは、機械によって車が移動されます。自走式立体駐車場に比べ省スペースでより多くの車を停めることが出来ますが、維持費が高くなるというデメリットがあります。
マンションお自走式立体駐車場には3つのタイプがある
自走式立体駐車場の中だけでも主に3つのタイプがあります。
- フラット式
- スキップ式
- 連続傾床式
それぞれに特徴があり、敷地に対しての向き不向きもあるので、それぞれを比較し、設置しようと考えている立地に適した種類を選ぶことが大切です。これらを一つずつ解説していきます。
フラット式
フラット式は最も採用される種類です。各階層をスロープで連結させており、駐車場内の見通しも良いことから安全性が高いとされています。また、1層2段の立体駐車場の場合は建蔽率の緩和が適用されるケースもあることから増築するのに適しているとも考えられています。
スキップ式
スキップ式は半階ずつ交互に、短めのスロープでフロアを連結している形です。こちらもよく採用されていますので、実際に利用した経験がある方も多いかと思います。設置しようと考えている敷地に傾斜や段差がある場合は、このスキップ式が適しています。
連続傾床式
連続傾床式は、利便性や安全性に優れているとされる、緩やかな螺旋状のスロープに駐車スペースを設けた形になります。
マンションの機械式駐車場5つのタイプがある
機械式駐車場にはいくつか種類が存在しますが、ここでは主な5つの種類をご紹介します!
塔式駐車場(Tower Parking System)
垂直に重ねた車両を円環状または直線状に配置する方式です。車両は垂直に移動し、指定の駐車スペースに収められます。一般的には円環状の構造を持ち、優れたスペース効率を提供します。
パズル式駐車場(Puzzle Parking System)
駐車場全体がパズルのように配置されており、車両が独立して移動することでスペースに収められます。
回転式駐車場(Turntable Parking System)
プラットフォームが回転し、車両がその上に乗り、所定の位置に回転して収められる方式です。これにより、車両が進行方向を変えずに駐車スペースに収納できます。
シャトル式駐車場(Shuttle Parking System)
移動式の搬送機構(シャトル)が車両を運び、駐車スペースに配置します。この方式は、複数の車両を同時に運搬できるため、迅速な駐車が可能です。
リフト式駐車場(Lift Parking System)
車両をリフトに乗せ、垂直または斜めに移動させて駐車スペースに配置する方式です。特に地下駐車場などで使用され、車両を積み重ねることができます。
マンションの立体駐車場に自走式立体駐車場が選ばれる理由
ここまででそれぞれの特徴をお伝えできたかと思います。ではそれらを踏まえて、なぜ機械式ではなく自走式が増えてきているのかを解説していきます。結論から言うとその理由はズバリ維持費にあります。
機械式立体駐車場には大きく2つのデメリットがあります。
- 維持費が高い
- メンテナンスが複雑
機械式立体駐車場の維持費は1台あたり年間約10万円かかると言われています。マンション内の機械式駐車場については、国土交通省が「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」にて、一般的な機械式駐車場の月々の修繕費を掲載しています。記載内容は以下の通りです。
▼機械式駐車場の月々の修繕費(マンションの場合)
2段昇降式・・・6,450円
3段昇降式・・・5,840円
3段昇降横行式・・・7,210円
4段昇降横行式・・・6,235円
エレベーター方式・・・4,645円
他・・・5,235円
※こちらの金額には、保守点検費用・部品交換費用・数年ごとの塗装費用なども含まれています。
維持費がほとんどかからないとされる自走式立体駐車場に比べて、毎月出費があるのは、やはり管理者にとっては悩ましいポイントです。またメンテナンスも専門的な業者に依頼しなければいけないため、費用を抑えるということが難しくなっています。
勘違いしていただきたくないのが、当然その分メリットもあるということです。次項で機械式立体駐車場のメリットを解説します。
機械式駐車場の維持費についての注意点
ここでの維持費用はあくまで概算となります。当然ですが、機械式駐車場の種類、修繕箇所の数や状態などによって異なります。また、メンテナンスを依頼する業者によっても前後するでしょう。そうなると「できる限り安く済ませたい」と考えることもあるかとは思いますが、メンテナンス業者を安さで検討するのは注意が必要です。もちろん安くてしっかりとメンテナンスを行なってくれる業者もあると思いますが、仮にしっかりとしたメンテナンスを受けられなかった場合、その後メンテナンスをし直す必要が出てきたりしてかえって費用が高くなってしまうなんてことも考えられます。信頼の出来る業者を見つけ、そういったところにお任せすることをおすすめします。
そして、費用を抑えるポイントとして小まめなメンテナンスも心がけましょう!
マンションの機械式立体駐車場のメリットとは
機械式立体駐車場のメリットには以下の点が挙げられます。特に建物が密集した都心部などでは、そもそも自走式立体駐車場を選択することが出来ない場合もあり、以下のようなメリットを持つ機械式立体駐車場が選ばれる理由になっています。
メリット1. スペース効率の向上
機械式駐車場は車両を垂直または水平に配置することができ、これにより限られたスペースを最大限に有効活用できます。従来の平面駐車場に比べて、より多くの車両を収容できます。
メリット2. 土地利用の最適化
特に都市部や繁華街など土地の価値が高い場所で、機械式駐車場は有効な土地利用の手段となります。垂直に積み上げることで、同じ敷地面積内で多くの駐車スペースを提供できます。
メリット3. 視覚的なデザイン
塔式駐車場など、一部の機械式駐車場はその特異なデザインにより、建築物やランドマークとしても興味深いものとなり、視覚的なアピールがあります。
メリット4. 環境への影響の軽減
機械式駐車場は機種によっては、駐車スペースを地下に配置することができ、周辺環境への影響を軽減できます。景観を損なわずに、地上を美化することが可能です。
機械式駐車場のことなら豊国ファシリティーズにお任せください
豊国ファシリティーズは世界に誇れる高い技術力と、利便性・安全性・美しさを満たす駐車場システムを提供するエキスパートです!
当社は1990年に水門の総合メーカーである豊国工業の民生部門として誕生し、機械式駐車装置をはじめ防水扉やその他産業設備の製造・販売を行ってきました。そして2010年に事業分割によって「豊国ファシリティーズ」が設立され、多段式駐車装置の総合メーカーとして実績を積んできました。
事業開始からこれまで、確かな経験と技術で時代のニーズに応える設計製作をマンション、商業施設等に提案・導入しています。
まとめ
本記事では、なぜマンションの立体駐車場で機械式ではなく自走式の需要が増えているのか解説させていただきました。これからも弊社が培ってきた知識や技術をベースに、様々な情報を発信して参ります!