機械式駐車場は限られた土地やスペースを有効利用するために設計され、都心部を中心に多く導入されています。省スペースで何台もの車を停めることができ人気の高い機械式駐車場も、近年では自家用車の保有台数の減少と共に利用率も下がってきている傾向にあります。
機械式駐車場を管理している側としては、今後の管理費用が心配という方も多いのではないでしょうか。
今回は、そういった悩みがある場合に検討したい機械式駐車場の解体について、特に「鋼製平面化(鋼製床工法)」について説明します。また、鋼製平面化(鋼製床工法)の手順やメリット・デメリット、工事にかかる費用について機械式駐車装置の総合メーカーである豊国ファシリティーズ コラム編集部が、徹底的に解説していきます!
この記事でわかること
- 機械式駐車場の鋼製平面化(鋼製床工法)の方法
- 鋼製平面化(鋼製床工法)のメリット・デメリット
- 機械式駐車場の撤去にかかる費用
目次
機械式駐車場の解体方法は2種類!
マンションの機械式立体駐車場の解体方法は大きく以下の2種類があります。
- 埋め戻し工法
- 鋼製平面化(鋼製床工法)
どちらの工法で行うかは地盤の状況など加味し、施工業者と相談の上で決定されます。それぞれの違いを見ていきましょう。
1.埋め戻し工法
機械式駐車場を撤去したあと、機械が入っていた穴を土砂やコンクリート、再生砕石などで埋め戻す方法です。最終的な仕上げは予算などによってそれぞれですが、アスファルトなどで平面にするのが一般的です。
こちらの工法を選んだ場合のメリットは作業にかかる費用が、次に紹介する鋼製平面化(鋼製床工法)に比べて安く抑えられる点です。ただし、地盤の状況によってはそもそも行えなかったり、周辺の地面に影響を及ぼしてしまう可能性もあります。
基本的にはそうしたトラブルが起きないように施工会社が調査を行いますが、予期せぬことが起きるリスクがデメリットとしてあります。
2.鋼製平面化(鋼製床工法)
鋼製平面化(鋼製床工法)は機械式駐車場撤去後のピットを埋めずに金属製の構造物(鋼板)で塞ぐ工法になります。こちらは埋め戻しと違って軽量なので沈下してしまうなどのトラブルは少なく、作業期間も短いことがメリットです。
一方で施工にかかる費用は高額になっており、鋼板は雨などの影響を受けると滑りやすいというデメリットがあります。また、ピット部分は空洞のままになるため排水ポンプなどを設置する必要があるのですが、これらのメンテンスを行う必要があるため維持費も必要となります。
今回解説するのは、「2.鋼製平面化(鋼製床工法)」となります。
機械式駐車場の鋼製平面化(鋼製床工法)の手順
鋼製平面化(鋼製床工法)の大まかな手順は以下の通りです。
- 仮設足場組み
- 機械式駐車場の撤去(部品の切断・解体・搬出)
- 仮設足場の撤去
- ピット内作業(軽量鉄骨の支柱等の組み立て・排水ポンプの設置等)
- 鋼製の床板を設置
- 完了
鋼製平面化(鋼製床工法)に要する期間
およそ1週間程度
※これは、駐車場の規模や搬入経路の状況などによって大きく異なりますので、あくまで目安としてお考えください。
機械式立体駐車場の撤去・鋼製平面化(鋼製床工法)工事にかかる費用
機械式立体駐車場の撤去費用
2段方式(8台):およそ150万円以上〜400万円前後
2段方式(24台):およそ250以上〜500万円前後
多段方式(32台分):およそ850万円以上〜1,500万円前後
鋼製平面化(鋼製床工法)の工事費用
平面化された駐車場1台:およそ100万円〜150万円前後
ここで示した料金の幅からもおわかりいただけるように、業者によって費用は大きく異なります。その理由も様々ですが、多くの場合は所有している重機によるものや工期、廃材処理の方法などが関連してきます。
機械式駐車場の維持費は1台あたり年間約10万円!空き区画でも維持費はかかる
次に機械式駐車場の維持費について解説いたします。
一般的に機械式駐車場の維持費は、1台あたりおよそ10万円前後となります。また、マンション内の機械式駐車場については、国土交通省が「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」にて、一般的な機械式駐車場の月々の修繕費を掲載しており、当然空き区画でも維持費はかかります。
例えば、2段昇降式駐車場で10区画のうち5区画が空きだとすると、年間約40万円前後は余計な維持費を払っている計算となります。
鋼製平面化(鋼製床工法)のメリット
1.場所を問わず施工対応できる
鋼製の床板は、強度がありながらも比較的軽量で、地盤への負荷を分散させることができます。また、耐久性があり、地盤沈下のリスクを軽減できる特長があります。このような特性から、建物の基礎や地盤に対する懸念がある場合や、機械式駐車場の導入が困難な条件下で利用されることが増えています。
2.今まで駐車できなかった車でも駐車可能に
機械式駐車場では駐車することができなかったハイルーフ車なども駐車可能になる為、利用者が増える可能性もあります。
鋼製平面化(鋼製床工法)のデメリット
1.埋め戻し工法と比べると費用が割高
鋼製平面化(鋼製床工法)は、埋め戻し工法と比べると工事費用が割高になる傾向があります。これは、機械式駐車場が地上にあるのか地下にあるのかなど、工事の難易度によっても変化し、設置が難しいほど費用は高額になります。
2.メンテナンスは今後も必要
鋼製平面化(鋼製床工法)は、メンテナンス費用を削減することは可能ですが全く0になるというわけではありません。状況によっては床板の塗装などのメンテナンスも必要な可能性もあります。
また、地下排水設備の定期点検は引き続き必要となりますので、注意して下さい。
駐車場の附置義務に注意!
機械式駐車場の平面化をするに当たって、特に注意しなければならない点は「駐車場の附置義務」です。
これは都心部などで駐車場不足が問題となった結果制定されたもので、大規模な商業施設やマンション新設時に一定数の駐車台数を確保することを義務づける条例です。
この条例により、機械式駐車場を平面化して駐車台数を減らすことが附置義務に違反する可能性があります。ただし、最近では車の所有者が減少していることから、国土交通省でも附置義務の見直しや平面化の特例を検討している動きがあるとのことです。
このため、機械式駐車場を平面化する際には、まずお住まいの自治体に附置義務について問い合わせ、調査することが重要とされています。地域ごとに異なる規制や特例があるため、事前に確認が必要です。
機械式駐車場のことなら豊国ファシリティーズにお任せください
豊国ファシリティーズは世界に誇れる高い技術力と、利便性・安全性・美しさを満たす駐車場システムを提供するエキスパートです!
当社は1990年に水門の総合メーカーである豊国工業の民生部門として誕生し、機械式駐車装置をはじめ防水扉やその他産業設備の製造・販売を行ってきました。そして2010年に事業分割によって「豊国ファシリティーズ」が設立され、多段式駐車装置の総合メーカーとして実績を積んできました。
事業開始からこれまで、確かな経験と技術で時代のニーズに応える設計製作をマンション、商業施設等に提案・導入しています。
結論
機械式駐車場の維持費は1台あたりおよそ年間10万円ほどとなっており、その維持費は利用者がいない場合でも支払わなければなりません。
管理している機械式駐車場の将来性について不安を感じたり、コスト削減に取り組みたいと考えている場合は鋼製平面化(鋼製床工法)をおすすめします。機械式駐車場の平面化を行うことで、結果的にコストの削減に繋がり、利用者にとっても使いやすくなる可能性もあります。
まとめ
今回は機械式駐車場の平面化、特に「鋼製平面化(鋼製床工法)」の方法、メリット・デメリットについて解説させていただきました!こちらのブログでは、機械式駐車装置の総合メーカーである豊国ファシリティーズ コラム編集部が立体駐車場に関する様々な情報などを発信していますので、是非関連記事なども合わせてご覧ください!