自走式立体駐車場を設計する際には、それぞれ定められている基準を考慮する必要があります。本記事では自走式立体駐車場の建築基準や設計の際の注意点、その他関連する様々な内容を機械式駐車装置の総合メーカーである私たちが解説していきます!
目次
自走式駐車場の3つの種類とは
そもそも立体駐車場には自走式立体駐車場と機械式立体駐車場の2種類がありますが、そのうち自走式立体駐車場の中だけでも主に3つの種類が存在ます。
- フラット式
- スキップ式
- 連続傾床式
それぞれに特徴があり、敷地に対しての向き不向きもあるので、それぞれを比較し、設置しようと考えている立地に適した種類を選ぶことが大切です。
これらを一つずつ解説していきます。
フラット式
フラット式は最も採用される種類です。各階層をスロープで連結させており、駐車場内の見通しも良いことから安全性が高いとされています。また、1層2段の立体駐車場の場合は建蔽率の緩和が適用されるケースもあることから増築するのに適しているとも考えられています。
スキップ式
スキップ式は半階ずつ交互に、短めのスロープでフロアを連結している形です。こちらもよく採用されていますので、実際に利用した経験がある方も多いかと思います。設置しようと考えている敷地に傾斜や段差がある場合は、このスキップ式が適しています。
連続傾床式
連続傾床式は、利便性や安全性に優れているとされる、緩やかな螺旋状のスロープに駐車スペースを設けた形になります。
立体駐車場の建設階層は用途地域で決まる
自走式立体駐車場には用途地域によって建設階層が制限されています。
用途地域とは、都市計画上で異なる地域に住宅、商業、工業などの用途を指定し、それに基づいた建築や土地利用の規制を行う概念です。都市のバランス発展と公共の利益確保を目的として定められており数年に一度見直しが行われます。
設計時にはこれらの制限をクリアする必要があるのでしっかりと確認しておきましょう!
低層住居専用地域は1階以上の建設は行えない
低層住居専用地域には「第1種低層住居専用地域」と「第2種低層住居専用地域」があります。これは都市計画法に基づく用途地域の一つで、低層住居が主体の地域を指定しています。こちらに該当する場合は1階以上の駐車場を建設できないので注意しましょう。以下にそれぞれの特徴を簡潔に説明します。
第1種低層住居専用地域
- 低い建築物が主体で、主に住宅地域として利用されるエリアです。
- 商業や工業などの用途は制限され、住居が中心となります。
- 高い建築物や商業ビルが少なく、住環境の重視が特徴です。
第2種低層住居専用地域
- 住宅が主体で、一部商業や公共施設も認められる地域です。
- 商業施設や公共機関はある程度制限されつつ、住居以外の用途も許容されるため、生活利便性が高まります。
- 第1種に比べて、やや多様な用途が許可される特徴があります。
これらの低層住居専用地域の指定は、地域ごとの都市計画に基づいており、住民の生活環境や地域の発展に合わせて調整されることがあります。
中高層住居専用地域は2階以下までの建設が可能
中高層住居専用地域も同じように「第1種中高層住居専用地域」と「第2種中高層住居専用地域」に分かれており、こちらは中高層の住居が主体の地域を指します。こちらは2階以下の建設が認められています。
第1種中高層住居専用地域
- 中高層建築物が主体で、主に住宅が中心となるエリアです。
- 商業や工業などの用途は制限され、住宅地域が重視されます。
- 都市の中心部や主要な交通ハブ周辺に指定されることがあり、交通アクセスの利便性が考慮されます。
第2種中高層住居専用地域:
- 中高層の住居が主体で、商業や公共施設など一部の他の用途も認められるエリアです。
- 商業施設や公共機関が制限されつつも、住宅以外の利用が可能となります。
- 生活利便性を高めつつ、住環境の向上を目指す地域とされます。
住居地域も2階以下の建設が可能
同じく住居地域の「第1種住居地域」と「第2種住居地域」の特徴を簡潔に説明します。こちらも中高層住居専用地域同様2階までの建設が認められています。
第1種住居地域
- 主に低層の住宅地域で構成されます。
- 商業や工業などの用途は原則として制限され、住宅地として整備されます。
- 緑地や公園など、住環境の向上が重視されます。
第2種住居地域:
- 住宅が主体であるが、商業や公共機関、文教施設なども認められる地域です。
- 生活利便性を高め、住民の多様なニーズに対応するために、商業エリアや公共機関の存在が認められます。
- 商業地域や公共施設へのアクセスが容易な範囲に指定されることがあります。
建築基準法の制限が定められていない用途地域
ここに挙げた用途地域の他に「準住居地域」「近隣商業地域」「商業地域」「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域」があります。ですが2024年1月現在ではこれらの用途地域には建築基準法の制限はありません。
立体駐車場の出口及び入口に関する基準
自走式立体駐車場を建設する際に注意すべき点は他にもあります。その一つが出入り口に関する基準です。以下に該当する場所には立体駐車場の出入り口を設けてはいけないので注意しましょう!
- 横断歩道橋(地下横断歩道を含む。)の昇降口から5m以内の道路の部分
- 幼稚園、小学校、義務教育学校、特別支援学校、幼保連携型認定こども園、保育所、児童発達支援センター、児童心理治療施設、児童公園、児童遊園又は児童館の出入口から20m以内の部分(当該出入口に接する柵の設けられた歩道を有する道路及び当該出入口に接する歩道を有し、かつ、縁石線又は柵その他これに類する工作物により車線が往復の方向別に分離されている道路以外の道路にあつては、当該出入口の反対側及びその左右20m以内の部分を含む。)
- 橋
- 幅員が6メートル未満の道路
- 縦断勾配が10%を超える道路
参照:駐車場法施行令第7条第1項(2024年1月時点)
自走式立体駐車場とバリアフリー新法について
バリアフリー新法とは、障がい者の社会参加を促進し、社会全体でバリアフリーな環境を整備することを目的とする法律の通称です。自走式駐車場で以下の3つの条件を満たした場合は、特定路外駐車場とみなされます。
- 不特定多数が利用可能な一般公共用であること
- 駐車スペースの面積が500㎡以上であること
- 料金を徴収すること
これらに該当し、特定路外駐車場とみなされた場合は、車椅子用の駐車スペースの設置や構造に関する基準が設けられるので注意しましょう。
自走式立体駐車場には大臣認定が必要?
結論から言えば必ず必要なものではありません。そして現在ではほとんどのメーカーが大臣認定を取得しています。大臣認定のメリットは大きく3つで、
- 耐火被覆の免除
- 建築確認申請の簡略化
- 消火設備の簡易化
となっています。これによって大幅にコストダウンできるので依頼する際にメーカーなどに確認することをおすすめします。
機械式駐車場のことなら豊国ファシリティーズにお任せください
豊国ファシリティーズは世界に誇れる高い技術力と、利便性・安全性・美しさを満たす駐車場システムを提供するエキスパートです!
当社は1990年に水門の総合メーカーである豊国工業の民生部門として誕生し、機械式駐車装置をはじめ防水扉やその他産業設備の製造・販売を行ってきました。そして2010年に事業分割によって「豊国ファシリティーズ」が設立され、多段式駐車装置の総合メーカーとして実績を積んできました。
事業開始からこれまで、確かな経験と技術で時代のニーズに応える設計製作をマンション、商業施設等に提案・導入しています。
結論
自走式立体駐車場を建設する際には様々な基準や注意点があります。運営者の観点で言えば、これらをご自身で全て把握する必要はありませんが、メーカーを選定する際などに知識として覚えておくことをおすすめします!
まとめ
今回は自走式立体駐車場の建設基準に関する解説をお届けしました。このブログでは立体駐車場に関連する様々な情報を発信していますので、是非関連記事もご覧いただければと思います!